石垣島で最も登山コースとして有名な山が、野底マーペーでしょう。正しくは、野底岳(のそこだけ)と言いますが、後述する伝説もあって野底マーペーという呼称が使われることが多い山です。
最近は、屋良部岳のトロルの舌やぶざま岳の川平湾絶景テラスも人気になりつつありますが、野底岳は絶景トレッキングの元祖と言ってもよいでしょう。
登山初心者でも上ることができ、冬でも楽しめるだけに、真夏を除く石垣島旅行では注目のスポットです。では、そんな野底マーペーの魅力やアクセス方法、登山・トレッキングするときの注意点を紹介します。
野底マーペーは初心者でも行ける絶景登山コース
まずは、野底マーペーの魅力、特徴から紹介していきます。
360度見渡せる絶景パノラマに感動
頂上まで登ってみた全ての人が、その絶景に驚くことは間違いありません。360度を見渡すことができるので、石垣島の広範囲を眺めることができます。もちろん、青くて美しい海や緑の山・森を見渡せます。この絶景の大パノラマは、石垣島を訪れる全ての人に見てほしい壮大な景色です。
山頂から見る海はもちろんですが、広がる森もよく見下ろせます。この森には、日本では八重山諸島にのみ生息しているとされ、特別天然記念物に指定されているカンムリワシがいることで有名です。
頂上の岩での撮影でインスタ映え、間違いなし
野底マーペーへ登ってみると頂上には大きな岩がいくつかあります。登山者が自己責任で岩の上へあがってそこから景色を楽しんでいるのですが、そこで撮影する写真が本当に映えます!インスタ映え間違いなしのポイントになっています。ただし、後述するように岩へ登ると危ないので注意が必要です。
石垣島で2番目に高い山だけど気軽に初心者でも登れる
野底マーペーは、石垣島にある山のなかで2番目に高い山です。一番高いのは於茂登岳ですから、マーペーの頂上からの眺めでは、南側にある於茂登岳だけが視界にどーんと入ってくる感じです。とはいえ、距離があるので、抜群の開放感があります。
2番目に高いとは言っても、その高さは僅か282mです。普段から登山をしている人なら、「そんなのは登山とは言わない」と言われてしまいそうな低さですね。
冬でも楽しめる登山(トレッキング)ルート
石垣島などの南の島では、冬に来ても泳げないしやることがないと思う人もいますが、野底マーペーなどのトレッキングは冬でも楽しめるアクティビティとしておすすめです。
トレッキングと言っても気軽に参加できるプチ登山という程度ですので、当日の天気を確認してから行くかどうか判断するとよいでしょう。石垣島は真冬でも温暖な気候ですから、当然、雪などはなく本格的な装備は不要で楽しめます。
2つの登山ルートと所要時間
野底マーペーの登山ルートは2つあります。多くの人が林道経由の簡単ルートで行っていますが、両方のルートを紹介しておきます。また、それぞれの所要時間も紹介します。
かんたん林道ルートとそのアクセス方法
誰でも気軽に行くことができるかんたんな林道ルートについて、その登山口までのアクセス方法と登山口から山頂までのルートを紹介します。
登山口までのアクセス方法
市街地や空港から石垣島東部の国道390号線を北上し、伊野田オートキャンプ上を過ぎると軽い登り坂になります。その登り坂の終わりくらいのところで左折して林道へ入っていきます。
以前はこの左折箇所がわかりづらかったのですが、現在は上の写真のように「野底林道 入口」と書かれた看板があるので、わかりやすくなっています。
同じ看板の拡大写真です。国道から入るルートが図解されているので、これとGooglemapを比べれば簡単に理解できるでしょう。
その後は、ひたすらくねくねした林道を進んでいきますが、道幅は以下の写真のようにそれほど狭くないです(一部で多少狭い箇所がある)。
しばらく林道を走っていると、右側に小さな展望台が見えてきます。それが、野底岳展望台です。この展望台からは、島の東側の海が綺麗に見えますが、野底マーペーに登るなら、山頂から見る景色の方が遥かに良いのでスルーしてもよいでしょう。
この展望台から北側を見ると、野底岳(マーペー)の山頂が見えます。下の写真の中央の高いところが、その山頂です。
さらに進んで行くと野底マーペー登山道入口の看板が見えてきます。野底岳展望台から3分くらいで到着します。
車を7~10台程度おけるスペースがあり、そのスペースの横に「野底マーペー登山道入口」という看板があるので、注意して見ていれば気付けるでしょう。
このかんたん林道ルートは、車で行くことを前提に紹介しています。徒歩で林道を進んでいくのは、距離が長く坂も厳しいので体力に自信がないと辛いでしょう。
登山口から山頂までのルート
かんたん林道ルートの登山口から山頂までのルートについて紹介します。
駐車スペースから登山道入口の看板横の登山道に入り、そこから徒歩で登っていくのですが、早い人で10分くらい、普通に登っても20分くらいで頂上に着きます。初心者でも気軽に行けそうだとわかりますね。
登り始めてすぐの辺りは、勾配が緩やかで進みやすいです。しかし、すぐに急な坂道に入っていくことになります。
勾配が急なだけではなく、木の根っこや岩などが多いので、足元に注意しながら登ってください。
途中で分岐点がありますが、以下のような看板があるので迷わないでしょう。これを見たら左折して最後の急な登り坂です。逆に行くと、この後に紹介する「少し本気の登山ルート」の下りになってしまいます。
最後の登り坂を頑張って進んでいくと、山頂の少し手前の右側に小さな岩場があり、そこからも石垣島の東側の景色を見られます。そこを過ぎるとすぐに大きな岩場が目の前に現れます。
その岩場が山頂です。
上の写真は下から岩を見上げていて、この上に登るは大変だと思いそうですが、実際はそれほど大変ではありません。ぜひ、絶景を楽しんでください。
少し本気の登山ルート
次に紹介するのが少し本気の登山ルートです。
少し本気とは書きましたが、それほど大したことはないです。登山道からの所要時間は1時間くらいです。
石垣島の西部の県道79号線で、野底集落からマーペーの方へ(東へ)入っていくのですが、ここを見つけられるかが1つのポイントです。「野底マーペー登山道」と書かれた決して大きくない看板が道端にあるので見逃さないようにしましょう。
この看板をもっと拡大すると以下です。
バスで行く人なら、「下地」または「兼城」バス停を利用してください。便が少ないので時刻表には要注意です。
ここから登山口までしばらく平坦な道を歩いていきます。以下の写真の道ですが、正面の左側の高い山が野底岳です。
しばらくしてから山へ入っていくことになりますが、そこにも看板があります。
ここから登っていけば、以下のような絶景が待っているので頑張りましょう。
ただし、登り始めてすぐのところに「危険(Caution!!)」と目立つ注意書きがぶら下げられています。スズメバチの巣がある可能性の関して注意を促しています。注意して登ってください。
所要時間
2つの登山ルートの所要時間は以下のとおりです。山頂での滞在時間は、少し本気の登山ルートの方を長めにみています。
ルート種別 | 所要時間 |
---|---|
かんたん林道ルート | 60分(片道20分、山頂の滞在20分) |
少し本気の登山ルート | 150分(片道60分、山頂の滞在30分) |
マーペーの由来・伝説
野底マーペー?マーペーって何と思う人も多いですよね。本当は野底岳なのですが、マーペーという呼称の由来は知っておいてください。
昔、石垣島の南にある黒島に住んでいたマーペーという娘とカニムイという男性の2人がいて結婚の約束をしていました。ある日、王の命令で黒島の一部の人が石垣島の野底村へ強制移住させられることになったのですが、これによって、マーペーとカニムイがはなればなれになってしまいました。マーペーが石垣島へ連れていかれたのです。
理不尽な話ですが、昔は農地開拓などで移住というのはあったことです(伝説だと言われていますが、こういうと実話っぽいですね)。
石垣島と黒島は、今なら船で簡単に行き来できますが、昔は簡単に移動できるものではありません。
マーペーは、野底岳に登って黒島を見ようと思い、登ったのですが、黒島の方向には石垣島で最も高い於茂登岳(おもとだけ)があり、黒島を見ることはできませんでした。そして、マーペーは、そのまま野底岳で石になってしまったという伝説があります。それで、野底マーペーというわけですね。
Googleマップで野底マーペーの頂上から黒島までの方向を確認すると、確かにその間には於茂登岳があり、黒島を見られないことがわかります。実際に現地に行っても見られませんでした。
そして、頂上には大きな岩がいくつもあります。これがマーペーが石になったものとされているようです。ちょっと悲しい伝説ですね。頂上付近には、この物語が刻まれた看板もありますので、行ったときには読んでみてください。
そんな野底マーペーの頂上から北側を見た様子が以下の写真です。両側に海が広がっているのがわかりますね。
野底マーペー登山の注意点
初心者でも大丈夫とはいえ、自然のなかへ入っていく登山・トレッキングだけに、野底マーペーへ登るならば、注意点を知っておきましょう。
雨の日や翌日は危ない
雨の日はせっかくの絶景も楽しみが半減以下になりますから行く人は少ないですが、その雨のときだけではなく、雨の後も注意が必要です。午前に雨だったので晴れた午後に行こうとしたときや、前日の雨量が多かった翌日などでは、登山ルートの土がぬかるみになっていたり、滑りやすくなっていたりします。
この登山ルート上の土は、赤土であるため、雨が降ると非常に滑りやすいのです。前に雨天の直後に林道コースの駐車場へ行ってみると下山してきた人の多くが滑ってしまったようで、衣服がどろどろになっている人がたくさんいました。少し登り始めると、滑った人の悲鳴が聞こえることも。
行くときだけではなく、数時間前や前日の天気のことも考えておくことをおすすめします。
岩の上へ登ると絶景だけど危険
野底マーペーでは、頂上の岩から見る絶景や岩の上での撮影が注目を浴びていますが、岩へ登ると危険です。一部の岩は、動くからだと思いますが、ロープをはって登れないようにしていました。それ以外の岩でも落下するリスクがあるわけですから、自己責任であることと、十分に注意する必要があるでしょう。
頂上は風が強いこともあるので、本当に気を付けてください。
ハブやヒルにも注意(遭遇率は低い)
石垣島にはハブもヒルもいます。野底マーペーでもその可能性は指摘されており、実際にマーペーの頂上へ登ったときに、先に登っていた観光客から登る途中で撮影したというハブの写真を見せられたことがあります。遭遇率は低いものの、注意すべきでしょう(今のところ、個人的には野底マーペーでヒルは見たことありません)。
実は、季節によってはスズメバチに遭遇することがありますので、夏前後は要注意です。
追加情報(2024/3/28)
2024年3月25日に久しぶりに野底マーペーへ行きましたが、山頂の岩場でスズメバチを目撃しました。足元が安定しない岩の上でスズメバチに遭遇すると慌てて岩から落ちる危険もあるので、十分に用心してください。
登山道が狭くて傾斜がきつい
登山道のルートの多くは幅が狭くなっていて、且つ滑りやすいので、注意しながら登りたいものです。傾斜もそれなりにきついところが何箇所かあり(全体的にも傾斜が厳しい)、ご年配の方が途中で断念して引き返すところを見たこともあります。
夕日も素晴らしいが、帰りが危ない
周囲を見渡せるだけに夕日を見ようと訪れる人もいます。ただし、街灯も何もない山の中だけに、日が沈むと真っ暗で危ないです。あまり夕日スポットとしてお勧めできるところではないです。
野底マーペーを登るときの服装
野底マーペーを登るときに適した服装を紹介します。季節・気温にもよりますが参考にしてください。
サンダル・ヒールはダメ
南の島ということで、サンダル・半パン・半袖Tシャツで上る人をみかけることもありますが、全くおすすめできません。怪我、虫さされ、ハブといったリスクを考えておきたいです。前にヒールと綺麗な服装(おしゃれな服装?)で登っていて、途中でこけちゃって綺麗な服を汚してしまっている人も見ましたが、初心者コースでも舐めてはいけないですね。
理想はトレッキングシューズ、長袖と長パンがおすすめ
滑らないためには、トレッキングシューズがいいですし、虫さされ対策には長袖と長パンがおすすめです。山頂の少し手前には、狭い道の両側から草が生い茂っていて、半パンだと切ってしまいそうです。また、山頂はほとんど影が無いので日焼け対策も考えておきましょう。
水分補給
林道コースのから行くなら短時間で登れるので、500mlのペットボトルを1本持っていれば十分ですが、山頂で長時間たたずんでいたいなら、もう少し用意しておきましょう。
アクセス・行き方・施設・費用・地図
野底マーペーへのアクセス方法・行き方は前述の登山ルートのところで説明したとおりです。レンタカーがあれば便利ですが、バスで行く人もいます。また、観光タクシーで回ってくる人もいます。おすすめはレンタカーです。
現地には何も施設はありません。トレイもなく、売店や自動販売機などもありませんので、行く前に準備しておきましょう。ただし、駐車料金や入場料などは必要なく、無料で楽しめます。
住所 | 沖縄県石垣市野底 |
料金 | 無料 |
駐車場 | あり(無料) |
トイレ | なし |
自動販売機 | なし |
営業時間 | 施設ではないため設定なし |
定休日 | 施設ではないため設定なし |
近隣の飲食店 | 徒歩圏にはなし |
主なアクセス方法 | 林道ルートの登山口まで車(レンタカー)で市街地から40分くらい、新石垣空港から25分くらい |
野底マーペー(野底岳)の凡その場所は以下の地図で示しているところです。
以下の地図(Googlemap)は、林道コースの登山道入口を示しています。
林道コースではなく、少し本気の登山ルートから行く場合、その登山道の入り口は以下のとおりです。
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投稿者プロフィール
- 石垣島を中心とした八重山諸島が大好きな運営者が、実際に現地で見聞き・体験した情報を発信している。
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